新しい論文が出た。今回の研究ではナイカイムチョウウズムシという動物を用いた。俺は名刺に今まで研究したことのある動物のシルエットを入れているんだが、ウズムシを入れたものに新調してとってもゴキゲンである。ちなみに、プレプリントでも同じ内容が読…
ウィリアム・マクドゥーガルは面白い心理学者なんだけど、やや位置付けづらい。ただ、それはこの人が本流から外れた突飛な人物だからではない。本能の概念はローレンツに影響したし、ワトソンと公開討論をしてボコボコにしていたり、 "Psychologies of 1925"…
[...] 結局、AIのような技術を使おうとする側も、自分が依拠する価値基準に意識的ならなくてはいけないということだ。そのためには、客観視するために数値化された「事実」をもう一度ことばに解体し、自分の置かれたコンテクストに沿って理解し直さないとい…
先日、金子書房さんが運営しているnoteに寄稿した。現在、「「心」とは何か」という特集をやっていて、俺のはその記事の1つとなっている。 特集「「心」とは何か」の第2回は、比較心理学における心とは何かを松井大先生に解説いただきました。【note】比較…
先日、現象学者の柳川耕平さんと一緒に書いた論文が出版された。タイトルは "On concepts of action and behavior as the implicit point of agreement between Enactivism and Radical Behaviorism" で、心理学の哲学に関する内容になっている。 論文はこち…
先日、妻とジュンク堂で本を買い漁ってたら、岡ノ谷一夫先生が『脳に心が読めるか? ―心の進化を知るための90冊』という本を出していたことを知った。出版は2017年なんで、別に最近でもなんでもないんだがな。俺も同業者の中では、まあまあ本を読むのは好きな…
今回は心理学界隈では2024年話題の一冊、『構成概念を見つめ直す』の感想を述べようと思う。本書は、金子書房の編集部より、ご恵投いただきました。ありがとうございます。感想を書く書く言いながら、もう半年くらい経ってしまった。いやはや不義理な人間で…
心理学で行動だの学習だのを研究している人、ずいぶん少なくなって久しいよな。って訳知り顔で言ってる俺は今32歳で、学部生の頃には既に「絶滅危惧種」と呼ばれていたんだがな。そういうことなので、「減っていく」感じはしなくて、今も昔も変わらず希少種…
Edward Thorndike (えどわーど・そーんだいく)は、心理学をかじったことのある人なら、名前くらいは聞いたことはあるよな。試行錯誤学習で、ネコの問題箱で実験した人で、効果の法則ってやつで有名で、日本人女性で初めてのPh.D取得者 原口鶴子の指導教員…
…私が提案し、固守する心の基準は、個々の経験の結果に基づいて、新しい調整を学習するか、または既存の調整を修正するかどうかということだ Romanes 1882, p.4 表題の本を著者の鈴木大地さんにご恵投いただいたので、ブログにしようと思う。いつものことだ…
先月に開催された生態学会で「異分野コミュニケーションから始める認知生態学」というシンポジウムが開かれた。企画はシロアリ研究者の菊池顕生さん、シクリッド研究者の佐藤俊さん、そして表題の本の著者、大崎遥花さんである。登壇者はこの3人に加えて、実…
Skinnerは「私が認知心理学者じゃない理由」って直球の論文を書いてるんだが、タイトルはそのオマージュなわけだ。普段からなんとなく思っていることを、ちょっと書き出してみようと思った。 俺は行動分析学会の会員ではある*1ものの、行動分析家ではない。…
つい先日こんな記事が出てXで流れてきた。 www.note.kanekoshobo.co.jp 結構いろんな人が反応してるから、俺も流れに乗ってなんか感想くらい言っておこうと思う。まあ本当に流れに乗っかって書くだけなので、ただの感想文みたいなもんでしかないけどね。 文…
Baldwin, J. M. (1894). Psychology past and present. Psychological Review, 1(4), 363–391. の全訳 (DeepLを使いながら時々気づいたところだけ直した) Psychological Reviewの第1巻4号で、当時の心理学の様子が伺えて結構面白い。 ----------------------…
学振ネタを何度も擦るのはあれなんだが、ちょっと気になって調べてみたので、紹介しておく。学振DCは、院生の気を揉む話題だろう。俺なんて、通るかどうか気が気がじゃなかった。最近はJSTとか他の支援も増えてきたが、、それでもなお、学振申請は博士進学者…
意図的行動主義 (Intentional Behaviorism) というのはGordon Foxallさんという研究者が提唱している行動主義で、ポストスキナー行動主義の1つである。Foxallさんは消費者行動の研究者のようで、意図的行動主義の主な適用対象もそこにある。 この記事では、…
3/26に松島俊也先生の最終講義があった。松島先生は、北大理学部の教員で、ヒヨコの意思決定や刷り込みの神経生理・行動神経科学を研究されていた方だ。ぼくとの関係としては、ぼくの大学院の指導教員である伊澤栄一さんの指導教員である。つまり、学問的に…
先週の土曜日、慶應文学部心理の伊東裕司先生と山本淳一先生の最終講義があった。ぼくはお二人から直接指導を受けたわけじゃないが、学部の頃から講義を受けていた。せっかくの機会なので、勝手に両先生にまつわる思い出語りをしようと思う。 伊東先生は認知…
大学院生はそろそろ、学振にヤキモキする時期になるんじゃないかと思う。かくいうぼくも、修士、博士、ポスドク2年目の各時期で学振の申請をしたが、毎回戦々恐々だった。そういうわけで、多くの博士院生やポスドクにとって学振はなんとも思い出深い(?)もの…
虹を解体することにより、私達は夜空に輝く星の光を分析しそれぞれの星の経てきた時間や地球からの距離を知ることができるようになった。そうした知見は、新たな創造の源になりはしないだろうか。科学は詩を解体するものではない。むしろ新しい詩を創り出す…
William Baumといえば、言わずと知れた行動分析家の大御所中の大御所で、例えば一般化対応法則で有名な研究者だ。Baumはいわゆる巨視的行動主義の理論家としても知られているが、色々独自の用語を作って議論するので論文が大変読みづらい。Skinnerほどじゃな…
表題のような人、存在するのか?というのはさておき、行動分析学が専門ではない俺が「行動主義」を学んだルートを紹介する。まあこういうのは、プロパーな人に聞いた方がいいんだろうけど、公開されてる情報が見つからないので俺のケースを書いておく。 Skin…
次のポストが決まって海外学振を途中で中断して帰国することになったんだが、その際にしなきゃいけなかったことをメモする。特に面白い話はない。単なる生活記録だ。 なんで今更こんな記事を書いたのかというと、最近になってようやく解決できた問題があった…
俺は博士のときはカラスとハトで運動学習の種間比較をやっていて、Bochumでポスドクをしていたときはハトの知覚研究だったり、学習の種間比較だったりと、比較認知科学的な研究をしていた。そういう人間が来年から意識の神経科学に携わると息巻いているのだ…
日本心理学会のシンポジウム「心理統計の学習方略を議論する―統計とうまくつきあえるユーザーを増やしていくために―」を聞いて色々思い出が蘇ってきたので、書いてみる。 当該のシンポジウムは樫原 潤さん、德岡 大さん、北條 大樹さんが各々の心理統計との…
2020年9月25日付で公開されたScienceで、2本も鳥の研究が発表されていた。で、これが両方歌関連じゃなくて珍しいし、感想を書いておこうと思う。 1本目は、Andreas Niederラボの研究 Nieder, A., Wagener, L., & Rinnert, P. (2020). A neural correlate of …
これもTwitterに投稿したら結構ウケた話なんだが、コメントも含めて文章にしておく。 これは学振の結果が気になりすぎてた時期に作った図表。心理学分野で、過去3年間に採用された人を片っ端からググって個人ウェブページ or Reserachmapがあった人の申請年…
Twitterでも書いたんだが、ちゃんと文章で残しておこうと思ったので、書いておく。 相談受けて思い出したついでに、海外学振初期に金回りで起きたトラブルをまとめておく…。・航空券が立て替えだったので払えるかやばかった(つうか某賞の副賞がなかったら消…
海外学振の2年目ももう後半で中途半端なタイミングではあるが、ブログを開設してみた。と言っても、大仰なことを書く気はなくて、適当な記録のために使うと思う。 ドイツにきて最初の1年半は大学のゲストハウスに住んでいたのだが、契約が切れてしまったので…