これもTwitterに投稿したら結構ウケた話なんだが、コメントも含めて文章にしておく。
これは学振の結果が気になりすぎてた時期に作った図表。心理学分野で、過去3年間に採用された人を片っ端からググって個人ウェブページ or Reserachmapがあった人の申請年度までの業績を数えた。当時の俺、暇かよって感じなんだが、まあこれから博士行く人とかの目安にはなると思うので載せておく。 pic.twitter.com/P0LKnxYaUU
— Hiroshi Matsui (@HeathRossie) 2020年9月25日
流れとしては、私が今年申請して、結果が気になって仕方なかった時期があって、そのとき思い立って調べたものだ。暇かよって感じなんだが、気になったら他に手がつかなくて、やってしまった。
調べ方としては心理学で学位取る人が出しそうな5細目 (実験心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学、認知科学) について、2018-2020年度採用者の名前で逐一ググってResearchmapか個人ウェブサイトで業績を公開している人から集計した。
注意点としては、
- 業績としてカウントしたのは、採用年度の前年 (申請年度) に発表された論文の数なので、申請 (機関にもよるがだいたい5月末まで) に間に合わなかったものも多分に含まれているはず (いちいち論文の公開日まで探すの面倒だった)。
- SPDは入ってない (忘れてた)
- 「査読付き論文」として公開しているものを愚直に数えたため、学会Proceedingsを入れるかどうかは人や分野によって違う
- そもそも、ウェブ上に業績を公開している人たちなので、相対的にたくさん論文が出ている人たちかもしれない (感覚としては、半分くらいの人しか公開してなかった。PDになってもResearchmap持ってる人がその程度なのは、少し意外だった)
- 通らなかったの人のは数えようがないので、何本あったら安心とかそういうのはわからない (なんかもっとたくさんサンプルが増えれば、どこで打ち切りになっているのかとか見たらある程度推測できるかも?まあ俺はやんないけど)
- 共著論文も含んでるし、オーサー順については問わない
あたりか。まあ、見ての通り何か厳密に業績を定義して数えた数字じゃないので、あくまで余興として見るものだ (が、これって誰かもう少し厳密にやって経年変化とかまで見たらそれなりに面白いかもしれない)。
国際誌、国内誌、合計それぞれの結果を見てみるとこんな感じになる。
また、平均や中央値を分野ごとに計算したらこんな感じになった。
国際誌の最大の本数は21本となんかすげえ数なんだが、こういう極端に業績が多い人ってのは、博士過程終了直後に申請している人ではない (経歴なんかを見る限りはそう思われる)。当たり前と言えば当たり前な話か。なので、外れ値気味な人に目を向けて、そして凹んでもあまり意味がないんじゃないかと思う。これ作った当時の俺は自分にそう言い聞かせた。
個人的に意外だなと思ったのは、国内誌に積極的に出す人ってあまりいなくて、最頻値は0になっている。ただ、周りを見ると、必ずしもそうではないので、この辺は分野全体で過渡期でもあるのかなあ。博士進学希望の学部・修士学生にとっては、ラボ選びの上では、気をつけたほうがいい部分かもしれない。
国際誌に限って見てみると、中央値を見ると5本程度なので、M1から毎年出してるってペースなんだな (と言っても、あくまでストレートで取るって計算だが)。研究の内容次第では、この水準に持っていくのはなかなか厳しい。学位取得後一年目で取れなくても困らないって人ならそんな事を急く必要もないのかもしれないけど、博士終わった瞬間に貯金0だった俺みたいな人だと、死活問題になってくる。本業に平行してサブワークを持つとか、共同研究仲良し大作戦とか、何か手がないときついよなあ。
とはいえ、2本で通ってる人も結構多い。博士進んでからD1で初投稿、D2、D3で毎年出してる、みたいな感じなんだろうか (テキトーな推測)。それくらいが学位取得後すぐ取る人がPDにを取る上で最低ラインになるのかもしれない。0本で通ってる人は1人だけだった。確か臨床で和文誌は結構出してた人だった気がするが、忘れてしまった。すまん。ともあれ、これから研究の世界に入る人のペース配分の参考にはなる、かなあ。
あと関係ないんだが、これやってたときに「へ〜こんな面白い研究している人もいるのか〜」という発見もあったりして、面白くもあった。で、実際、日本心理学会で試しに発表聞いてみたりもした。向こうからしたら「なんでこんな分野全然関係ないやつが・・・?」って感じかもしれないが・・・。