本当に学振って同じラボが取り続けてんの?って話

学振ネタを何度も擦るのはあれなんだが、ちょっと気になって調べてみたので、紹介しておく。学振DCは、院生の気を揉む話題だろう。俺なんて、通るかどうか気が気がじゃなかった。最近はJSTとか他の支援も増えてきたが、、それでもなお、学振申請は博士進学者にとってのビッグイベントなんじゃないかと思う。

 

そんな学振DCだが、巷でまことしやかに言われてるのが

学振って同じラボから出続けているじゃん・・・・

ということだ。何年も学会に出ていても、なんかそんな気もしなくもない。

 

でも、本当にそうなのか?

気になってしまったので、今回は簡単に、過去5年間のDC1・2の取得者の受け入れ研究者をひたすら数えてみた。数え方としては、公式ウェブサイトの採用者一覧を見て、心理学の諸分野 (実験心理、臨床心理、社会心理、教育心理の4細目) の採択者の受け入れ研究者を手動でひたすらエクセルに記入していった。心理学では、認知科学神経科学系の細目に出す人もいるが、今回は入れなかった。理由は・・・面倒だったからだ。すまん。気が向いたらまた数えるかも。過去5年間なのは、上述のウェブサイトが公開しているのが過去5年だったからだ。

 

「お前さあ、前もこんなことやってなかった?」って声が聞こえてきそうだが、それはPDの採択者の論文数を数えたやつだな。

 

いきなりだが、結果がこちらになる。

 

 

縦軸がカウント数、横軸が受入教員が同じDC1・2の取得者の数になっている。

傾向として、半数以上 (68%) が、過去5年間でラボ内唯一の採択者となっている。これはまあ、そもそも博士院生が来ないとか、新設ラボだったりとか、いろんな事情があるから、だからどうと一概に言うことはできない。5年間ってのは、1人の修士院生がストレートでいけば学位をとっちゃうくらいの期間だから、ラボ内で自分が唯一の採択者みたいな事例は、実はそれほど珍しくなさそうだ。

 

逆に、32%は、過去5年間で2人以上採択されているラボとなっている。最大では7人採択されてるラボもあったけど、これはだいぶ例外的。でも、すげーな。ちなみに、細目は社会心理と教育心理に学生のテーマごとに出し分けていた。俺の出身研究室である伊澤栄一研も入ってた。後輩諸氏が活躍されているようで、俺は嬉しい。というか、分野の近い課題は、大体知ってる先生方だった。正直、肌感とそんな変わんねーな。

 

過去5年間に1人でも採択者を出しているラボは136個あった。学振DCは大体20-25%くらいの採択率のはずなので、その競争の中で何人も採択者出してるラボってのは、そう多くない。研究者の数で言うと、43人だった。認知科学神経科学関連の細目もいれたらもっと増えそうだけどね。

 

ある程度業界にいたら「はいはい知ってた」感はある話だったけど、博士進学考えている人は、ちょっと進学先の考慮材料にしてもいいかもしれない。学振DCが取れているラボがいいラボだと、安直には考えないでほしいし、実際そんなこともない。が、金がないと生きてはいけない・・・。俺なんかは、DC通らないと博士いけなかっただろうし、そういう人も未だに多いと思う。例えばJSTは取れる大学に限りがあるしな。もちろん、最近に採択者がいなければダメだということでもないけど、直近に採択されている先輩がいたら文章見てもらえたりとか、恩恵もある。俺が大学院進んだときは、俺がラボ初の修士院生だったので、友達同士で見せるのが関の山だったので、こういう先輩後輩関係は羨ましかった (まあ研究科には採択者がゴロゴロいたので、申請書はたくさんもらったけどな)。