2025-01-01から1年間の記事一覧

William McDougall "The hormic psychology" の全訳

ウィリアム・マクドゥーガルは面白い心理学者なんだけど、やや位置付けづらい。ただ、それはこの人が本流から外れた突飛な人物だからではない。本能の概念はローレンツに影響したし、ワトソンと公開討論をしてボコボコにしていたり、 "Psychologies of 1925"…

【読書感想文】「事実」の交差点——科学的対話が生まれる文脈を探して

[...] 結局、AIのような技術を使おうとする側も、自分が依拠する価値基準に意識的ならなくてはいけないということだ。そのためには、客観視するために数値化された「事実」をもう一度ことばに解体し、自分の置かれたコンテクストに沿って理解し直さないとい…

心とは何か特集にかこつけてブツクサと雑記を書く

先日、金子書房さんが運営しているnoteに寄稿した。現在、「「心」とは何か」という特集をやっていて、俺のはその記事の1つとなっている。 特集「「心」とは何か」の第2回は、比較心理学における心とは何かを松井大先生に解説いただきました。【note】比較…

学際的研究の単一事例記録

先日、現象学者の柳川耕平さんと一緒に書いた論文が出版された。タイトルは "On concepts of action and behavior as the implicit point of agreement between Enactivism and Radical Behaviorism" で、心理学の哲学に関する内容になっている。 論文はこち…

研究を始めて10年が経つことだし、俺をここまで連れてきた90 + 10冊を選んでみよう。

先日、妻とジュンク堂で本を買い漁ってたら、岡ノ谷一夫先生が『脳に心が読めるか? ―心の進化を知るための90冊』という本を出していたことを知った。出版は2017年なんで、別に最近でもなんでもないんだがな。俺も同業者の中では、まあまあ本を読むのは好きな…